人権享有主体について分かりやすく解説

人権享有主体について分かりやすく解説 憲法

人権の享有主体(じんけんのきょうゆうしゅたい)とは、憲法によって保障される人権を誰が持つことができるのかということです。

日本国憲法では、第3章の冒頭に「国民の権利及び義務」とありますが、この「国民」という言葉が、人権を持つ主体をどこまで含むのかが議論されることがあります。

「法人と外国人の人権をどこまで保障するか」について学んでいきます。

法人

法人とは会社とイメージしておけば大丈夫です。

憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用されると解されています。

逆に言えば、保障される権利の範囲に制限があります。

法人に保障される人権と保障されない人権
保障されない生命・身体に関する自由
社会権
選挙権・被選挙権
保障される国家賠償請求権
居住移転の自由
表現の自由
信教の自由
財産権
政治活動の自由

保障されない権利を覚えておきましょう。
社会権は会社が倒産しそうな際に生存権を保障することはないということです。

政治活動の自由について重要な判例を覚えておきましょう

法人の目的範囲
事件名団体の性質問題となった行為判断
八幡製鉄政治権献金事件株式会社(自由参加)政治献金目的の範囲内
南九州税理士会事件強制加入団体政治献金目的の範囲外
群馬司法書士会事件強制加入団体震災復興支援目的の範囲内

八幡製鉄政治権献金事件は「会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持したり、反対したりするなどの政治的行為をなす自由を有する。」

強制加入団体である税理士会が政治献金をすること(南九州税理士会事件)は、会員の思想信条の自由と、団体の目的の範囲外であるとして無効とされました。

一方で、同じ強制加入団体である司法書士会が、被災した他の司法書士会の復興支援のために特別負担金を徴収すること(群馬司法書士会事件)は、司法書士の公的機能の回復のためであり、会員の思想信条の自由を害さないとして有効とされました。

これらの判例は、団体の性質や活動の目的によって、会員の権利がどのように考慮されるかを示すものです

外国人

人権の性質上、外国人も一部の基本的人権を享有すると考えられています。

判例

「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」

マクリーン事件

外国人に保障される権利とそれ以外を見ていきましょう

外国人に保障される人権と保障されない人権
  • 保障される
幸福追求権みだりに指紋押捺を強制されない自由は保障される。
一方、指紋押捺制度は合憲


何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有し、それは日本に在留する外国人にも等しく及びます

ただし、外国人登録法上の指紋押捺制度は、人物特定と公正な管理という正当な理由があるため、憲法13条に違反しないとされています(指紋押捺拒否事件)

重要なのは「みだりに」強制されない自由であり、正当な理由があれば強制される場合があるということです
政治活動の自由外国人の政治的表現の自由は、我が国の政治的意思決定・その実施に影響を及ぼす活動等に関しては保障されませんが、それ以外の政治的活動の自由は保障されます
出国の自由保障される
外国人が日本から出国することは自由です
  • 保障されない
入国の自由
再入国の自由
在留の自由
保障されない

外国人は誰でも自由に入国できるわけではなく、入国の許可は国の裁量に委ねられています

一度入国し生活の拠点を築いた在留外国人であっても、再入国の自由は当然には保障されません
公務就任権 地方公務員の管理職の昇任は保障されてない
地方公務員でも管理職といった立場の公務員に就職することは、日本の法体系の想定するところではないとされています
国政選挙の参政権保障されない
裁判所は、国政選挙は国民の代表を決める選挙であり、国民主権の原理から外国人に国政選挙における参政権は認められないと考えています
  • その他
地方選挙の参政権選挙権を付与すること立法措置は憲法上禁止されてない、法律で付与しても憲法違反にならない
生存権在留外国人を生存権の保障対象から除外することは、立法府の裁量の範囲内とされ、憲法25条には違反しないとされています
社会保障施策における在留外国人の処遇は政治的判断に委ねられており、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されます

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